慣れないテークアウトで増加中… 危ない食中毒はこう防ぐ
黄色ブドウ球菌は人間や動物の皮膚や消化管などに常在する菌で、自然界に広く分布している。食品中で増殖すると、エンテロトキシンと呼ばれる毒素を産生して食中毒の原因になる。手指からの汚染が多く、弁当やおにぎりで起こる食中毒の代表的な原因菌だ。
ウェルシュ菌も人間や動物の腸内、土や水の中にも生息するありふれた細菌で、とりわけ牛、鶏、魚が保菌している場合が多い。不適切な温度下や長期の保存、加熱処理不足で発生し、作り置きのカレーやシチューで起こる食中毒の原因になる。
カンピロバクターは、牛、豚、鶏といった家畜をはじめ、イヌやネコなどのペット、野鳥や野生動物の消化管内に生息している。とりわけ鶏肉の汚染率が高く、近年、日本で発生している細菌性食中毒の中で発生件数が最も多い。一般的な加熱調理で死滅するが、生食など加熱不足のまま食べる機会が増えたことが増加の原因だといわれている。
こうしたどこにでも生息している細菌による食中毒を防ぐには、とにかく「細菌を増やさない」ことを心がけたい。
「食中毒の原因になる細菌のほとんどは、①温度、②水分、③栄養の3つの条件が揃うと発生します。室温20度で増殖し始め、30~40度で増殖スピードが一気に速くなる。味やにおいでは気付かなくても増殖は進んでいて、短い場合は10分程度で増えていきます。ですから、テークアウトの飲食物は持ち帰ったら時間をおかず、すぐに食べるのが鉄則です。調理されてから2時間以内には食べきることを意識してください」(藤田氏)