ドケルバン病が増加中…外出自粛スマホ使いすぎの後遺症が
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は解除されたが、外出自粛期間中の“後遺症”に悩む人が増えているという。指や手首の痛みやしびれが表れる「ドケルバン病」だ。「KIZUカイロプラクティック」の木津直昭院長に詳しく聞いた。
ドケルバン病は手の腱鞘炎のひとつで、近年はスマホが普及したことで患者が増えている。
スマホを操作する際に頻繁に使う親指や手首を動かしたり曲げたりすると痛みが走り、指の付け根が腫れたり変形して動かしづらくなり、手を開けなくなってしまうケースもある。「スマートフォン・サム」とも呼ばれている。
外出自粛やテレワークでスマホを触っている時間がこれまでよりも長くなり、ドケルバン病による手や関節のトラブルを訴える人がさらに増えているのだ。
「われわれの手や指には『腱』と呼ばれるひも状の組織があり、腱が筋肉と連動して動くことで、手首や指を曲げたり伸ばしたりしています。その際、腱は骨と離れないように包んでいる腱鞘という“トンネル”の中を行き来するのですが、腱を使いすぎたり、過剰な負荷がかかると炎症を起こし肥厚してしまいます。それで腱が腱鞘の中をうまく通過できなくなって痛みが出る。これが腱鞘炎で、ドケルバン病は親指を伸ばす長母指伸筋腱と親指を広げる長母指外転筋腱が肥厚して起こります」
スマホを使うとき、多くの人は親指を本体の表側に出し、他の指は背面側から握る。その際、親指の付け根付近に本体の縁を当て、他の指は指の中腹に力を入れてスマホを支えている。その状態のまま親指で画面をタップしたり、反対の手の人さし指で操作をしているケースがほとんどだろう。
「この握り方でスマホを操作すると、本体を握っている側の手や指では、普段、物をつかむときに使う筋肉ではない短母指伸筋が使われ、長時間にわたって同じ握り方で操作を繰り返していると、だんだんと長母指外転筋腱や長母指伸筋腱が肥厚して、ドケルバン病を招いてしまうのです」