公衆衛生の専門医語る 家庭内リスクコミュニケーションのススメ
新型コロナウイルス感染症には従来の病気とは違ういくつかの特徴がある。そのひとつに、メディアに登場する専門家の意見がバラバラで何が正しいのか、素人には分かりにくいことが挙げられる。しかもあるウイルス学専門の医師が警告しているように「現代社会では病院経営やビジネスの専門家が小学生の自由研究のような“ぼくのかんがえた、最強のコロナ理論”を思いつきで述べることは誰にも止められない」状態だからなおさらだ。そのため、情報の受け手がよほどしっかりしていないと、誤った行動を取ることになりかねない。そうならないためにはどうすべきか? 公衆衛生に詳しい、岩室紳也医師に聞いた。
「いまは新聞、テレビ、雑誌、SNSなどから情報を得ている人が多い。その中には正確、かつ有用な情報もあるのですが、客観的でない、生活に有用とは言えないものもある。見ている側も自分が気になる情報だけを選んで読むため、独り善がりな偏った情報になりがちです。だからこそ、友人間や職場で各人が得た情報をふるいにかけるために家庭を含め、いろんな人とのリスクコミュニケーションが必要です」
リスクコミュニケーションとは、あるリスクについて利害関係者の間で情報を共有し、対話や意見交換を通じて意思の疎通をすること。それによって、リスクに関する相互理解を深め、信頼関係を構築していく。