医療安全を考慮して「手術をしない」選択がされるケースも
たとえばそれががんであれば、「いまは手術できないが、抗がん剤を使って腫瘍が小さくなったら、その時点で手術をしましょう」といったように次のステップを提示します。EBMを含めた医療安全を考慮して治療法を選択するのは、その患者さんが健康的に生活できる日をより長く続けられるように“水先案内”をするイメージでしょうか。
■医療従事者は個々で医療安全レベルを高めることが大切
中には、医療安全を曲解してトラブルを恐れるあまり、少しでもリスクが高い患者さんの治療は断る医療機関も存在します。病状が安定している患者さんしか手術を受け付けない施設も見受けられます。それはそれでひとつの考え方なので何とも言えませんが、そうした医療機関は「あの病院はちょっとでも難しい患者は断られる」といった評判が立ち、評価が下がってしまうものです。患者さんを守るという医療安全の概念とはずれてしまっている印象です。
こうした医療安全の考え方が広く浸透してきたいまの時代は、医師や看護師をはじめとした医療に関わるスタッフは、個人個人が自分自身の医療安全レベルを高めておくことが大切です。