緑茶がうつ病を吹き飛ばし睡眠や記憶を改善 専門家が解説
「つまり弱い結合であっても、種々の効果があることが示唆されます。実際、テアニンには、ドーパミン(中枢神経系に存在する伝達物質)の放出を増加させ、抑制性神経伝達物質であるGABA(アミノ酸の一種)を増やす、記憶や学習に重要な脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やすといった薬理作用も報告されています」
テアニンのように優れた薬効成分を持つ緑茶には、他にポリフェノールの一種である「カテキン」も含まれている。かつてタンニンとも呼ばれた渋味成分のカテキンは、体脂肪低減効果(人間総合科学大学人間科学部・時光一郎教授)や、抗がん作用(静岡県立大学・伊勢村護客員教授)など、各氏による研究論文も多い。
覚醒作用や作業能率を向上させる「カフェイン」もよく知られている成分だが、功刀教授は、お茶の入れ方によって抽出量が違ってくるという。
「テアニンなどお茶の成分を効果的に出すのは熱湯ではなく、50~60度程度のぬるま湯の温度でゆっくり抽出するのがいいのです」
戦国武将たちは、戦場でゆっくりと茶をすすり、心を和らげ、精神統一を図ったという。コロナ禍の今は、まさに“心の戦国時代”。少し贅沢して、テアニンをたっぷり含む玉露などをたしなみ、平静さを取り戻してみたい。