認められていない考え方をごり押しするルール違反は許されない
個人が正当な行為だと思い込んで嘱託殺人をどうしても実行したいのであれば、それが法律で認められている外国に行けばいいのです。彼らの行為は、日本の街中にあるコンビニエンスストアで買い物をするときに、「世界で広く使える通貨なのになんでここでは使えないんだ」とドル紙幣を振りかざすようなものといえるでしょう。
医学部で医師になるために受ける教育は、医学的な知識や診療・治療に関する知識だけではありません。そうした医療行為を患者さんに対して行使する際は、どのような倫理観を持って行わなければならないかといった考え方を繰り返し徹底して教育されます。何度も何度も試験を受け、その都度、知識と態度と実際に行う医療行為が、それぞれすべて問題ないかどうかを点検され、それに合格した人だけがスタートラインに立てるのです。そうやって成り立っている医師としての一線を、個人の主義主張や都合で変えてしまう行為は排除されなければなりません。
■常に患者を守る側に立つ
一部報道によると、会員制のSNSで安楽死を肯定する発言を繰り返し、亡くなった女性患者と実際にやりとりをしていた宮城県の医師は、医学部を卒業後に厚労省に入り、7年ほど医師国家試験を担当する「試験専門官」を務めていたといいます。逮捕されたもうひとりである東京都の医師は、日本の医科大学を中退した後、海外の大学を卒業したと申請して医師国家試験を受け、医師免許を取得したそうです。しかし、海外の大学を卒業した事実が確認できないため、警察は、東京都の医師が不正に医師免許を取得した可能性と、当時、試験専門官を務めていた宮城県の医師の関与についても調べているといいます。