心房細動はしっかり治療しないと認知症にかかりやすくなる
高齢化がますます進んでいる日本では、「心房細動」の患者さんが増えています。心臓が細かく不規則に収縮を繰り返すことで動悸や息切れの症状が表れる病気です。血流が悪くなるため血栓ができやすくなり、心原性脳梗塞や心不全につながって死を招くリスクもあります。心房細動は認知症になりやすくなることもわかっています。
心臓の病気である心房細動と、脳の病気である認知症は、関係ないように思われますが、実は深い関わりがあるのです。
心房細動がある人は、認知症になるリスクが1・4倍高くなり、アルツハイマー型認知症や血管性認知症などすべての認知症のリスク因子であるという報告があります。また反対に、心房細動に対して積極的な治療を行うと、認知症の発症リスクが低減するという研究も数多くあります。
心房細動の治療は大きく2つあり、まずは心房細動や脈拍数を抑える抗不整脈薬や、脳梗塞を予防するために血栓をできにくくする抗凝固剤による薬物療法を行うのが一般的です。投薬であまり効果がみられない場合は、「カテーテルアブレーション」(カテーテル焼灼術)という治療が検討されます。太ももや肘からカテーテルを挿入し、不整脈の原因となっている部分に高周波の電気を流して焼く方法です。