痛み、違和感、声がれ…喉の不調に胃薬は効果があるのか
喉の不調というのは、クリニックの外来では非常に多い訴えです。痛みもあれば、何かがつっかえたような違和感、声がれや咳などその内容はさまざまです。一時的なものであれば、風邪かなと思い様子を見るところですが、1カ月経っても改善しないような場合には、何か重い病気が隠れているのではないかと不安になり、医療機関を受診される方が多いと思います。検査をして喉のがんなど、原因が見つかることもありますが、多くの場合、原因は不明です。
こうした原因不明の喉の症状に対して、日本はもちろん海外においてもよく処方されているのが、「プロトンポンプ阻害剤」という強力に胃酸を抑える作用の胃薬です。耳鼻科で喉の奥を調べると、声帯の周りに炎症が起こっていることが多く、胃酸の逆流がその原因ではないかという考え方があるからです。ただ、実際にはそれを証明するような、信頼のおける研究結果があるわけではありません。
今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、それについての最新の研究結果が発表されています。
イギリスの複数の耳鼻科のクリニックで、喉の症状が続いている患者に、プロトンポンプ阻害剤を4カ月使用して、使用しない場合と比較したところ、薬の有効性は認められませんでした。
喉の症状に胃薬が効く、というのは、現状は科学的に証明された考えではないようです。