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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

医師から十分な説明を受けられず不安を抱える患者は多い

公開日: 更新日:

 肺がんが再発したKさん(68歳・女性)は、がん拠点病院の外来で7カ月間、薬物治療を受けてきました。

 その日も病院に着くと採血検査が行われ、1時間以上も診察室の前で待ったあとA医師から呼ばれました。診察室に入ったKさんは、「Kです。いつもありがとうございます」とあいさつしました。するとA医師は、あいさつもそこそこに一気に話し始めました。

「お元気ですか? 特に症状は変わりませんね。CEA(腫瘍マーカー)の値が上がってきました。今の治療が効かなくなってきた証拠です。今度は抗がん剤を替えようと思います。『ゲムシタビン』です。よろしいですか? それとも緩和にしますか? 次回、2週間後までに考えてきてください。今日は、採血の結果はCEA以外は問題ありませんでしたので、前回の点滴をそのまま行います。次回は採血、CT検査、診察、そしてよろしければゲムシタビン点滴となります。はい。それでは点滴室の方でお待ちください」

 アッという間に診察は終了しました。A医師はすぐさま次の患者を呼びます。Kさんの場合と同じように採血の結果を見て、抗がん剤点滴を行うかどうかの指示を出し、そして次の患者に移るのです。

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