新型コロナ治療はここまで進んでいる 臨床にあたる医師に聞いた

公開日: 更新日:

 さらに、下肺野(肺の下部)に炎症が認められ、低酸素血症を来している患者には、抗ウイルス薬の「レムデシビル」が同時に使われる。

「現在、入院が必要だと判断される患者さんはほとんどがレムデシビルが適用になる状態で、その場合はさらにリウマチ治療薬の『バリシチニブ(一般名)』も併用します。こちらは、トシリズマブとは作用機序が異なるJAK阻害薬と呼ばれる薬で、過剰な免疫反応を抑制する働きがあります。海外ではバリシチニブの使用によって新型コロナウイルス感染症の死亡者が35%減少したという報告があります」

 入院が必要な新型コロナ患者には、トシリズマブ、レムデシビル、バリシチニブが投与され、さらに血栓の形成によって起こる合併症を予防するため血液をサラサラにする抗凝固療薬も使われている。

■ステロイド薬を投与するタイミングが重要

「こうした薬物療法を基本的に5日間継続し、抗原定量検査でウイルス量が50(ピコグラム/ミリリットル)程度に減った段階で、ステロイド薬の『デカドロン』(デキサメタゾン)を投与します。免疫反応や炎症を抑制するためです。ステロイド薬については、重症化を抑えて死亡率を下げることが報告されていて、以前は治療の初期から使われていました。しかし、体内のウイルス量が多い初期にステロイド薬を投与するとウイルスが減るスピードが落ちてしまうことがわかっています。そのため、ウイルス量がある程度まで少なくなった段階で使う必要があるのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末