坂本昌也
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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

健康な人より意識してタンパク質を取らなければならない理由

公開日: 更新日:

「痩せるために、お肉は食べないようにした方がいいですよね」とおっしゃる糖尿病患者さんが時々います。

 糖尿病に肥満は禁物。摂取カロリーを減らして肥満を解消しなくてはなりません。でもそれは、お肉NGということではない。

 お肉は貴重なタンパク質源で、筋肉量保持に重要です。避けるべきは、お肉だけを食べるなどの偏った食事です。実際、糖尿病と診断されたばかりの人の食生活を聞くと、「朝食抜き、昼は牛丼、夜は居酒屋で飲んだ後にラーメン」といったように、食事のほとんどが動物性食品と炭水化物で占められ、野菜、果物、大豆食品、海藻、きのこ類はほとんど食べていない……ということも少なくありません。

 特に糖尿病患者で高齢者は、腎臓の機能が低下していなければ、意識してタンパク質を取った方がいい。糖尿病が筋肉量の低下をもたらし、また筋肉量が低下すると糖尿病のリスクを高めるという双方の関係が複数の研究で報告されているからです。

 また、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少。身体機能低下を招く)のリスクを増やしてしまいます。

 広島大学の研究グループが、興味深い研究結果を発表しています。それは、1998年から2006年に「ゆうぽうと健診センター」が関東で実施した65歳以上6133人の健診データを基に、糖尿病と筋肉量低下の関係を評価したもの。

 筋肉量を知るために利用したのが、筋肉で産生される老廃物「血清クレアチニン」の量です。すると、65~69歳、70~74歳、75歳以上のすべての群で、糖尿病の人はそうでない人と比べてクレアチニン値が低かった。これは、筋肉量が低下していることを示しています。

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