進行肺がん治療の最前線 新たな治療薬の承認で何が変わるのか
「がんは遺伝子の変化で起こります。肺がんの場合、ドライバー遺伝子といって、がんの発生、増殖、生存に直接関わっている遺伝子が特定されています」
■遺伝子変化に合わせて治療薬を選択
よく知られるのがEGFR遺伝子だ。この遺伝子に変異が生じると、肺の上皮細胞の増殖の制御が困難となり、がん化する。肺がんは前述の通り、がん細胞の形態で小細胞がん、非小細胞がんに分別され、非小細胞がんは更に3つに分別されるが、今は遺伝子変化の種類に基づいて細かく分けて治療戦略が練られている。
「遺伝子変化が認められるのは主に、肺がんの最も多くを占める腺がんなのですが、非小細胞がん7213例(主に腺がん)を解析した結果、およそ7割の患者さんにドライバー遺伝子変化が見つかりました。腺がんのうち約半分はEGFR遺伝子が占め、ALK、ROS1、MET、NTRK、BRAF、そして今回新薬が承認されたRETなど、多数のドライバー遺伝子が分かっています」
つまり、進行肺がんの治療は、遺伝子変化の有無を確認し、それに応じた分子標的治療薬を選択するという個別化治療の流れになっているのだ。遺伝子ごとに分子標的治療薬は登場しており、例えば、EGFR遺伝子の変異に対してはオシメルチニブ、アファチニブなど。ALK融合遺伝子変異にはアレクチニブ、ブリガチニブなどがある。