お米を食べる量は減っているのになぜ糖尿病は増えてるのか
では、何が糖尿病を増やしているのでしょうか? 一時、日本人がマグネシウムを多く含む大麦や雑穀などを食べなくなった1960年代を境に糖尿病が増え始めたとして、マグネシウムの摂取と糖尿病との関連が注目されました。実際、マグネシウムはインスリンの働きを良くして糖の代謝を改善することが示唆されており、マグネシウム摂取により糖尿病のリスクが低くなることが欧米の研究で報告されています。しかし、これは必ずしも定説になっているわけではありません。
むしろ便利になって体を動かさなくなったことが問題だと私は思います。
実際に平成9年度(1997年度)国民栄養調査では一日の歩数は男性8202歩、女性7282歩だったのに、平成30年度(2018年度)では男性6794歩、女性5942歩と減少しています。
お米には糖質以外にミネラルなど体に良い栄養素が含まれていて、お米に含まれるタンパク質は、小腸でつくられるホルモン(インクレチンの一種)を活性化させ、インスリン分泌を促進するという話もあります。糖尿病が気になる人はまずは普段、体を動かすことを考えた方がいいのではないでしょうか。
(弘邦医院・林雅之院長)