歯周病をコントロールする「歯周組織再生療法」とはどんな治療なのか
「そのうえで、歯茎を切開して歯槽骨から歯茎を剥離し、不良肉芽組織や歯根の表面に付着している歯石やバイオフィルムを取り除きます。それから、線維芽細胞の増殖因子を主成分とする『エムドゲイン』や『リグロス』といった薬剤を歯根に塗り、歯周組織の再生を促すのです。歯槽骨の欠損が多い場合は、薬剤に加えて骨の成分などから作られた材料を充填したり、人工膜をかぶせるケースもあります。そうした処置を行ってから、歯茎を元の位置に縫合し、およそ10日前後で抜糸します。歯周組織再生療法では縫合も重要なポイントです。しっかりと正確に縫合しないと、口腔内の細菌などが傷口からどんどん侵入して、再生を妨げてしまいます。そのため、歯科医には切開と縫合の技術が求められます」
この治療によって、一般的におよそ半年後には歯槽骨が再生する。1本だけでなくほかにも垂直性の骨欠損が進んでいる歯があれば、歯周組織再生療法を同時進行で行うという。再生を促した後のレントゲン検査と歯周ポケット計測の結果によっては、再び歯茎を切開して再生の状態を確認し、薬剤や材料を補充するケースもある。
「歯槽骨が再生して歯周ポケットの状態が改善しても、普段の歯磨きが不十分だと再び歯周病になってしまいます。ですから、歯周病治療では何よりも正しいブラッシング指導を重視しています」
歯周病は予防も治療後も、やはり日頃の口腔ケアが重要なのだ。