糖尿病の人は歯の喪失リスクが高…「歯を守るためのポイント」
糖尿病で高血糖になると白血球の一種である好中球の機能が低下して、体内に入り込んだウイルスや細菌を排除する働きが悪化する。また、高血糖では毛細血管の血流が悪化するため、酸素や栄養を体の隅々まで十分に届けられなくなって細胞の働きが低下する。こうしたことから糖尿病の人は「易感染性」と呼ばれる感染症にかかりやすい状態になる。その結果、体のあちこちで炎症が起こり、TNF-αをはじめとした炎症性サイトカインが増えてしまう。
「歯周病は、口腔内に生息する歯周病菌が原因で起こります。歯周病菌が歯と歯肉の隙間=歯周ポケットに蓄積して増殖すると、歯肉が炎症を起こして腫れたり出血しやすくなり、進行すると歯周ポケットが深くなって歯を支える歯槽骨が溶け、歯が抜けてしまうのです。歯周病菌は内毒素を放出するため、歯肉などの歯周組織や粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。そのため、TNF-αなどの炎症性サイトカインも増えるのです」
■血糖をコントロールしたうえで歯周病の治療を行う
つまり、糖尿病と歯周病が合併している人は、両方ともきちんと治療して炎症性サイトカインを減らさなければ、どちらも十分な改善は望めないということになる。