一時的な入院で筋力が著しく低下した90歳…自活生活に戻れるか?
最近、低ナトリウム血症と頭部外傷を患う90歳になる方が私たちの診療所で在宅医療を開始されました。お一人暮らしの女性です。
低ナトリウム血症とは、なんらかの原因で体内の水分量とナトリウム量のバランスが崩れ、血液中のナトリウム濃度が低くなる病気です。
3つの場合が考えられていて、まずは、下痢や嘔吐、多量に汗をかいたときなどに水分を補給しようと水を多量に摂取したときに起こるもの。
次に、心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、腎不全などの疾患からナトリウムに比較して体内の水分量が過剰になることで生じるもの。
そして、ホルモン異常などで体液量はほぼ正常なのにみられる低ナトリウム血症。高齢者では、水分とナトリウムの調整機能が低下して起こすケースもよくあります。
低ナトリウム血症は初期ではほとんどが無症状ですが、ナトリウム濃度が低下するにつれ、軽い疲労感、反応の鈍さ、錯乱、頭痛や嘔吐、食欲不振が生じ、やがては筋肉のひきつりやけいれんの発作が起きるようになります。その女性も、低ナトリウム血症でふらつき、転倒。頭部を打撲し、病院へ救急搬送され、入院となりました。それによって体を動かす時間が減り、筋力が著しく低下。10メートルを超える歩行は困難となりました。ADL(日常生活動作)の著しい退化も招いていました。ただ、お気持ちは大変元気。