糖尿病患者が口にする「全然食べてない」には2つの意味 絶対量を食べていないのではない
「『以前ほど食べていない』と『糖尿病になりそうなものは食べていない』という意味です。この違いを理解していないと、不必要に薬を減らしたり食事の量を増やしたりして症状を悪化させる場合があるのです」
たとえば「全然食べていない」が「以前ほど食べていない」という意味の患者の場合、じつは年齢の割にはたくさん食べていることが多いという。
「それもタンパク質が多く含まれる、肉や魚、大豆などの『おかず』を定期的に取っている人は少ない。簡単に手に入るパンやごはん、果物が食事の中心となっている独居や老老介護の高齢者が多い。金銭的にも労力的にも『おかず』を手に入れられないからです」
そんな患者の「全然食べていない」をうのみにして食事量を増やせば、さらに多くの糖質を摂取することになり、そこで減薬すれば二重の意味で糖尿病は悪化する。
■在宅診療の現場は医学的な正論が通じない
また、糖尿病が進行すると慢性腎不全になる人がいる。そうした患者に「タンパク質の取り過ぎは腎臓に負荷をかけるので減量しましょう」という正論をぶつけるのは在宅医療の現場を知らないからだと山中医師は言う。