患者本人は在宅医療を拒否…家族の意向だけで始めたケースも
「はじめまして」
こう私たちが訪問すると、患者さんは「娘が勝手にしたんでしょ。お帰りください。私は何も聞いていませんよ」とぴしゃり。
さらには、「あなた方が家に入ってくることを、許可していませんけど」「(在宅医療を受けるのは)無理! 永久に!」と立て続けにおっしゃいました。「娘が勝手にしたんでしょ」の一点張りで、「私のこと悪者にして。110番しますよ」と。私が「めっそうもないです。悪者になんてしていませんよ。勝手かどうかはわからないですが、娘さんもあなたのことを思ってしてくれているんですよ」と話しても、聞く耳を持ってくれません。ひとまず初日はそのまま退散し、以降、拒否されても、繰り返し訪問し、現在に至っています。
かつて航空会社でキャビンクルーをされていたというお母さま。結婚後の旦那さんによるDVが原因で離婚を経験され、3人の娘たちを引き取り、北関東で長らく住んでいたとのこと。
やがて娘たちがそれぞれ独立。長らく一人暮らしをしていたのですが、数年前の台風で家が損壊。東京で三女の家族と同居生活を始めたものの、折り合いがうまくいかず、また一人暮らしに。私たちが訪問するようになった頃には、都内の北部の団地に住んでいました。