正月の伝統行事にまつわる東洋医学の知恵 お屠蘇には漢方が含まれる
お正月に行う日本の伝統風習の中にも、東洋医学の思想や知恵が込められたものが少なくありません。
例えばお正月の元旦に頂くお屠蘇。このお屠蘇の中には、地方などにより多少の違いはありますが、山椒、陳皮、桂皮、桔梗、八角、白朮、防風などの生薬を配合した屠蘇散という漢方処方が入っています。胃腸を温め、消化機能を整え、風邪を予防する効能があるとされています。
この屠蘇散は、中国三国時代の魏の名医である華佗が最初に作った処方だといわれており、邪気を払い、魂を蘇らせるといった意味も込められています。まさに年の初めにふさわしい、東洋医学の知恵の詰まった祝い酒といえるでしょう。
無病息災を願う七草がゆの中にも、東洋医学の知恵を見つけることができます。
七草がゆは、正月明けの1月7日にいただきます。年末から続くおいしいものの食べ過ぎ、飲み過ぎで胃疲れし始めた時期。
七草がゆに入っている「七草」、つまりセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロは、どれも胃腸の働きを高め、食べ過ぎや濃い味つけなどによって生じがちとなる、胃腸の気の滞りを改善する作用があります。
このように昔から日本にある風習の中にも、東洋医学の未病や医食同源の思想が色濃く反映されており、健康や無病息災、長寿といった願いのこもった先人の知恵をうかがい知ることができます。東洋医学の知恵を改めて見直し、みなさんが健やかな生活を行う上でのヒントにしていただければと思います。