コロナ対策を続けても「結核」はなぜ減らない? 新規感染者は毎年1万人超
「結核菌は感染すると体の中で何年でも休眠状態で生き続けることができ、多くの人は生涯問題を起こしません。この段階を潜在性感染と言い、加齢や病気などで免疫が低下して活動性結核となり、症状が現れると、人にうつす可能性が出てきます。結核はその意味で急性の病気でなく、慢性の感染症なのです。ですから、結核を発症している高齢者の大半は、ずっと以前に感染していて、加齢などで免疫が衰えたことで発症しているに過ぎないのです」
事実、現在、活動性結核として登録されている7割以上は60歳以上で、約4割は80歳以上。この世代は結核が蔓延していた時代を生き抜いた高齢者であり、免疫力が下がれば活動性結核となって発症するのは当然のことなのだ。
「実際、結核患者の15%近くが糖尿病の患者さんです。ほかに、じん肺、がん、エイズウイルス(HIV)感染、免疫抑制剤治療中の人などが増えて、それが原因で結核になる例が増えています。ですから、新型コロナ対策は潜在性感染の減少につながった可能性はあっても、高齢世代の活動性結核の減少には必ずしもつながらないのです」