「食べる時間と健康」何がわかり、何が未解決なのか? 時間栄養学の第一人者が語る
「例えば、高齢者は握力や下肢、体幹など全身の筋肉が衰えて、歩くスピードが遅くなり手すりや杖が必要となっていきます。いわゆるサルコペニアの状態です。それが進むと寝たきりになったり、認知症が進みます。その原因は主に加齢ですが、食事の量や内容も関係していて、特に筋肉のもととなる動物性タンパク質を食べる量が減るからだといわれています」
■「BCAA」は朝に食べると効果的
では、いつ、どんなタンパク質を取ればいいのか? 柴田教授らの研究グループは1日2回(起床後と就寝前)食事を与えるマウスを使って実験を行い、筋肉増強に関係するアミノ酸である分岐鎖アミノ酸を「朝」に多く摂取する方が筋肉がつきやすいことを報告している。
「私たちの体の筋肉や骨はタンパク質でできていますが、それを構成しているのは20種類のアミノ酸。そのうち9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内では合成できないアミノ酸です。このうち、『バリン、ロイシン、イソロイシン』の3種類を分岐鎖アミノ酸(BCAA)と言います。哺乳類に必要な40%を占め、筋タンパク質中の必須アミノ酸の35%を占めるといわれています。研究ではBCAAを夜より朝に多く摂取したマウスの筋肉量が増加しました。また、他のアミノ酸ではそうした差は見られませんでした」