【クレアチニン】供給は筋肉量、排泄は腎機能で決まる
健診で義務付けられている腎臓関係の項目は、検尿による「尿糖」と「尿タンパク」の2項目だけ。しかし多くの職場が「クレアチニン」を加えています。糸球体腎炎を含む慢性腎臓病(CKD)のスクリーニングになる項目です。
クレアチニンは、クレアチンの最終代謝産物です。この2つ、「チ」の字の後に「ニ」の字が付くかどうかの違いですから、よほど意識しないと同じに見えてしまいます。クレアチンのほうは、筋肉のエネルギー源の一種で、アミノ酸から合成され、骨格筋に蓄えられています。そして運動で消費されると、老廃物であるクレアチニンになって血液中に溶け込み、腎臓で濾されて尿と一緒に排泄されるのです。
健診で計測されるのは血中のクレアチニン濃度です。これはクレアチニンの供給量と排泄量で変化します。供給は筋肉量によって決まり、排泄は腎機能で決まります。
筋肉量は加齢によって下がってきますが、それ以上に腎機能が弱ってくると、差し引きで血中クレアチニン濃度が上がってきます。それによって、いまの腎機能の状態が、おおよそ推定できるというわけです。