月経のたびに息切れが…女性の気胸の正体は「子宮内膜症」かもしれない
とりわけ注意したいのが、子宮内膜症が肺で発症する「胸腔子宮内膜症」だ。月経のたびに気胸を繰り返す「月経随伴性気胸」を引き起こし、胸痛や息切れなどが現れる。医師でも気胸を婦人科疾患と結びつけるのが難しく、診断まで時間がかかるケースが少なくないという。
「月経中に気胸を2~3回繰り返し、呼吸器外科で胸腔鏡手術を受けたところ子宮内膜症が見つかり当院に来院された患者さんがいました。気胸は手術で目に見える肺の病変を全て取り除いたとしても、微小な病変が1つでも残っていれば肺に穴が開いて気胸を起こすので再発率も40~70%と非常に高い。気胸になると胸痛や息苦しさで遠出が難しく、行動範囲が狭まるといった悩みを患者さんからよく聞きます。QOLの低下を防ぐためにも早期に診断を受け治療を始めるのが大切です」
月経随伴性気胸を起こした患者のうち9割が右肺という報告がある。明らかな原因は分かっていないが、子宮内膜が直腸のある左側を避け、右側から腹水の流れに乗って右横隔膜から右肺にたどり着き気胸を起こすと考えられている。
「気胸患者の男女比は9:1で圧倒的に男性に多い点からも、女性が気胸を起こした場合には胸腔子宮内膜症を疑う必要があります。中には、繰り返される気胸で肺の病理組織検査を行っても子宮内膜症が見つからず、原因不明状態のケースも少なくありません。そういった場合、婦人科では試験的にホルモン療法を開始し気胸を起こさなくなれば、子宮内膜症と診断しています」