著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マスクを常に着用する場合の「害」の検討はなぜ難しいのか

公開日: 更新日:

 その上に小児の心理社会的な影響となると研究自体の困難さも加わり、どうしても医学研究で明らかになるには多くの時間や複数の研究の積み重ねが必要になる。害を検討した研究がなかなか見つからない背景にはそういう問題がある。

 効果を示す医学研究ばかりが出版され、害の問題がはっきりしない複雑な中で、学校での感染対策をどうするか判断しなければならない現状は、医学研究を追加したとしても決して容易なものではない。マスク着用の害について明らかでない中で、重症化リスクの低い小児にマスクを着用させるかどうかと問題を絞ってみたところで、その困難はほとんど軽くはならないだろう。さらには小児と言えども、まれには重症化はあるし、症状が長引いたり、味覚障害が残るなどの後遺症の問題もあり、医学的な面だけを取り上げても、考慮すべきことが多くある。

 効果を重く見るか、害を重く見るか、そう単純化させないと判断ができないというのが現状かもしれない。そう考えれば、効果を示す多くの論文がいくらあったとしても、不確かな害の方を重く見て、「マスク着用を求めない」という判断もあながち悪くはないともいえる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末