突然死の原因になる心房細動は「症状なし」の人が4割いる
次に、症状に慣れてしまっているケース。
「動悸や息切れがあっても、軽ければ危険性を認識しない。忙しいからと病院へ行けず見過ごしているうちに体が慣れてしまう」(妹尾恵太郎医師=以下同)
ある70代患者は年1度の健康診断は異常なし。健康に気遣っており、心電計付き上腕式血圧計で心電図の乱れが出た時は機械の故障だと思っていた。
睡眠時無呼吸症候群と高血圧がある60代患者は階段を上る時に動悸・息切れを感じていたが、「年のせい」とみなしていた。
この2人はいずれも、心電計付き上腕式血圧計で測定した心電図を医療機関に見せたことで心房細動発見に至ったが、それがなければどうなっていたか分からない。
というのも、心房細動は前述の通り突然死のリスクが高いから。心房細動は心房のけいれんで血液がよどみ、血栓ができやすくなる。それが血流に乗って脳に飛び、血管に詰まると脳梗塞が起こる。
「心房細動から起こる脳梗塞は『心原性脳塞栓症』といって、命に関わる大きな脳梗塞になることが多い。一命を取り留めても、麻痺や寝たきりなど重い後遺症が残る可能性が高い」