感染者数が昨年の2倍に急増中…「マイコプラズマ肺炎」にご用心
また、マイコプラズマ肺炎は肝障害を起こしやすいことから、ALTやASTの値を血液検査でチェックするという。確定診断には、マイコプラズマは赤血球にくっつく作用があるため、判断材料のひとつとして赤血球の凝集の有無を確認する寒冷凝集反応の数値をチェックしたり、初期と治ったあとの血液中の抗体価を比較する。
「発熱時(急性期)と症状が治まった2週間後(回復期)に採血で抗体検査を行い、比較して4倍以上の上昇が見られることが条件です。成人の場合、気道の炎症によって分泌物が増え、小児に比べて乾咳から痰が絡む咳になりやすい喘息によく似た症状が長く続くことがあるため治療が必要です」
治療薬の選択も重要だという。マイコプラズマには一般の細菌性肺炎に効果が高いペニシリンやセフェム系抗生物質が効かず、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の3種類が有効とされている。
「ただ、小児の場合、マクロライド系は聴覚障害のリスクがあり、マクロライド系の中で有名なクラリスロマイシンは、日本人では子供から成人までの50~93%が肺炎マイコプラズマに対して耐性を示すと報告されています。さらにテトラサイクリン系も小児では歯が黄色くなる副作用が知られているので、リスクを回避するためにもマクロライド系のジスロマックやニューキノロン系をなるべく処方しています」