高齢者の再手術は初回からの期間が短いと「癒着剥離」の難度が上がる
再手術において、最初の関門となるのが「癒着」です。心臓の手術では、一時的に心臓を覆っている心膜を切開し、再び縫って閉じる処置を行います。縫い合わせた部分は、傷が回復する過程で組織同士がくっついて、どうしても癒着が起こるのです。
癒着によって臓器や血管が複雑にくっついていると、スムーズに患部にメスを入れることができなくなります。再手術では、まず癒着を丁寧に剥離しながら手術を進めていきますが、それだけ時間もかかりますし、技量も必要になってきます。癒着している部分とそうでない部分の境目はもろくなっているので、ちょっとしたことで血管が裂けて大出血を起こすケースがあるのです。
■癒着剥離には「微分」が役立つ
こういった手術によって生じた癒着は、初回の手術から時間がたっていればたっているほど対応しやすくなります。時間がたつと、癒着している部分と通常の組織がなじんでくるため、ある程度の耐久性が保たれ、癒着の剥離や手術操作がやりやすくなるのです。最初の手術からそれほど時間がたっていない再手術はリスクが高く、技術的なハードルが高くなるのはそのためです。