高齢者の再手術は初回からの期間が短いと「癒着剥離」の難度が上がる
当院で再手術を実施する患者さんは上限で85歳前後、70~80代が中心なので、およそ60~70代で最初の手術を受けた人が多いというイメージでしょうか。ただ、「初回の手術はしっかり終わっていて、経年劣化で“賞味期限”を迎えたことによる再手術」は、技術的にはそこまで難度は高くありません。外科医としてやっかいなのは、1~2年前に手術を受けた患者さんの再手術です。
このケースで当院にやってくるのは他院で手術した患者さんがほとんどで、最初の手術がうまくできていないことから追加の処置が必要だったり、中にはまるっきりやり直しするケースもあります。心臓の悪性腫瘍=肉腫で、初回の手術では腫瘍の部分が取り切れていなかったために再発し、すべての腫瘍を取り切るために再手術を行った患者さんもいました。徹底的に再手術を行うのは私くらいでしょう。
こうした初回の不十分な手術に対する再手術というのは、いちばんリスクが高くなり、技術的なハードルも上がります。組織同士の癒着が強いうえ、最初の手術であれこれいじくり回された箇所をもう一度、触れて処置しなければならないからです。