荒川隆之
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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

被災地では「処方箋」が手書きになるため事故が起こりやすくなる

公開日: 更新日:

 前回お話ししたように、今年2月、薬剤師として、大きな地震があった能登での災害支援活動に参加しました。

 災害時において、「処方箋」は手書きとなる場合が多くみられます。今回の被災地でも私が目にした災害処方箋はすべて手書きでした。普段であれば、ほとんどの医師はパソコンで処方箋を入力しているため、いきなり手書きになることでミスが起こりやすくなります。

 また、薬剤師も普段は印刷されたきれいな処方箋しか見ていないので、読み間違いなどが起こるリスクがアップします。たとえば粉薬は、医師はその医薬品の「成分量」で考える場合が少なくありません。医師が言う「粉薬100ミリグラム」とは、「粉薬の成分が100ミリグラム」というケースが多くあるのです。

 しかし、市販されている医薬品は10%顆粒や20%顆粒などがあり、10%顆粒は1グラム中に100ミリグラムの成分が含まれています。普段はパソコンに入力した段階で、1回1グラム(成分100ミリグラム)と計算されたものが処方箋に印刷されるのですが、これが手書きになると「100ミリグラム」とだけ記されていることがありえるのです。この場合、処方箋に記載されている通りに100ミリグラムを計量すると、成分としては10ミリグラムしか投与されない……といった事態が起こる可能性があるのです。

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