最新研究「痩せ」は危ない(3)24時間動かないだけで「脂肪筋」がたまる
次に調べたのが、不活動でなぜ脂肪筋が蓄積するか。明らかになったのは、脂肪筋を作り出す酵素の活性が不活動と連動していること。遺伝子導入でその酵素が働かないようにすると、不活動でも脂肪筋が蓄積せず、インスリン抵抗性が発生しないことも確認できた。
さらにヒトを対象に、24時間片脚をギプスで固定して動きづらくし、骨格筋の生検を行った。すると動物実験と同様に、脂肪筋を作り出す酵素が活性化し、脂肪筋が増加。動物実験と同様の結果だった。
シドニー大学による調査「世界20カ国における平日の総座位時間」では、日本人の座位時間は世界最長の7時間という結果が出ている。
「座位時間が長い、つまり不活動でいると、短時間でも脂肪筋が蓄積し、インスリン抵抗性が増す。痩せている、太っているということではなく、不活動により糖尿病リスクが上昇することが、この研究でも示されました。ここに高脂肪食が加わると脂肪筋は一層増え、糖尿病リスクがより高くなると言えます」
「動くことが体にいい」とよく言われるが、むしろ「動かないことが体に非常に悪い」のだ。 (つづく)