現役世代も熱中症には要注意! “隠れ脱水”の放置がピンチを招く
1回の欠食で失う水分供給は0.4リットル
まず40代のAさんだ。今年と同じような猛暑だった昨年7月、初めて熱中症になったという。
「毎年、夏は食欲が落ちる上、昨年はちょうどプロジェクトメンバーに抜擢されたことでかなり忙しく、少しでも睡眠時間を確保しようと朝食を抜くことが多くなりました。昼は職場の近くで必ず食べますが、発症した前の日は特に忙しくて夕飯に出るタイミングをなくし、腹も減らないし、『まぁ、いいか』と仕事を続けて終電で帰宅。さすがに『何か食べないと』と自宅近くのコンビニでサラダチキンを買ってそれが晩飯。食べたら寝ました。翌朝も食べずに出社したら、昼前くらいにめまいがするし、トイレに行くと尿がどぎつい茶色でビックリ。慌てて会社の産業医に診てもらったら、熱中症でした」
このAさん、職場でも自宅でも2リットルのミネラルウオーターを用意。水分補給はこまめにしていたそうだが、何がよくなかったか。
「食事を抜いたことが大きいし、特に朝食を抜いたことで“隠れ脱水”が進んだ可能性があります。食事は、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養を補給するだけでなく、水分を補給する意味もあります。ところが食事を取らないと、その分の水分補給がパーですが、この方は夕食は取ったものの不十分で朝食がゼロでした。一般に睡眠中の汗の量はコップ1杯分200㏄といわれますが、この猛暑ではエアコンの使い方次第ではもっと増えます。睡眠中の発汗と2度の欠食で、“隠れ脱水”が進んだのでしょう」(米山氏)
体重60キロの場合、1日の水分の出し入れは、大体2.5リットルでバランスが取られる。
その内訳は〈表〉の通り。供給分のうち、野菜や果物などに含まれる食べ物そのものの水分は1リットル。さらに食べ物の代謝で生まれる水分もあって、それが300ミリリットル。合計1.3リットルで、何と体に供給される水分の半分以上! 1食当たり0.43リットルで、2食パスすると、約0.9リットルの水分供給を失うことになる。この影響はデカい。