【熱中症死者1500人時代】それでもなぜ老人は夏場に厚着するのか「5つの仮説」を検証する

公開日: 更新日:

 もはや35度以上の「猛暑日」ぐらいでは驚かない。40度に迫る「災害級の暑さ」が続いている。それでも「窓を開ければ涼しい」と平気で言う高齢者もいる。「年齢」と「体温調節機能」には関連性があり、10年前の自分とは違うことを自覚しよう。

  ◇  ◇  ◇

「災害級の暑さ」が流行語となったのは2018年。気象庁はコロナ禍でこそ当たり前になった「不要不急の外出を控える」ことを、この頃から呼びかけていた。18年の東京の「日最高気温」の平均は6月で26.6度、7月になると気温はぐんぐん上昇し32.7度を記録している。

 ところが、今年はこれに輪をかけて酷い。6月で27.7度、7月は33.7度(9日時点)と18年の記録を上回っているのだ。

「今週末、関東の暑さはいったんおさまりますが、16日あたりから太平洋高気圧の高度が上昇します。このあたりが梅雨明けになり、そこから暑さがぶり返すでしょう。気象用語では『背の高い高気圧』と言ったりしますが、暑さとイコールの関係になります」(お天気キャスター・森田正光氏)

 東京の「日最低気温」は平均25度超えが目前。熱帯夜が日常になり、夜でも気温が30度を下回らない「超熱帯夜」の日々も近づいている。

 ところが、高齢者の中には「窓を開けると意外に涼しい」と言ってみたり、「扇風機を回せばぐっすり寝られる」と自慢のように話す人がいる。これにはネット上でも「暑いのがわかっていながらエアコンを使わないのは意味不明」「熱中症で搬送された分の医療費は最終的に若者の負担となる」と批判的な声が多く投稿されている。

■平均4.5万円救急搬送費用は若者の負担

 実際に救急車の1出動当たりのコストは4万5000円とされ、決して安くはない金額だ。

「10年前とは暑さも酷くなっている上、自分の年齢も10歳年を重ねています。暑い時に“暑い”と感じるセンサーも古くなっていることを自覚することが大事でしょう。ヒトも年を取れば、体温調節機能が衰えていきます」(森田氏)

 熱中症による死亡数は18年が1581人。22年も1477人と高い水準で推移しており、うち65歳以上の高齢者の割合は80%を超えている。

 それでもなぜ老人は厚着をするのか?

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  2. 2

    シニア初心者向け「日帰り登山&温泉」コース5選 「温泉百名山」の著者が楽しみ方を伝授

  3. 3

    斎藤元彦氏猛追の兵庫県知事選はデマと憶測が飛び交う異常な選挙戦…「パワハラは捏造」の陰謀論が急拡散

  4. 4

    兵庫県知事選「頑張れ、斎藤元彦!」続出の異常事態…まさかの再選なら県政はカオス確実

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    別の百条委メンバーも兵庫県知事選中に「脅迫された」…自宅前に県外ナンバーの車、不審人物が何度も行き来、クレーム電話ひっきりなし

  3. 8

    悠仁さまの処遇めぐり保護者間で高まる懸念…筑付高は東大推薦入試で公平性を担保できるのか

  4. 9

    異様な兵庫県知事選の実態…斎藤元彦氏の疑惑「パワハラは捏造」の臆測が急拡散

  5. 10

    「資格確認書」利用で窓口負担増の“ペナルティー”を政府検討 露骨な格差に識者も怒り露わに会員限定記事

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動