日本の薬は大丈夫か?(1)ジェネリックの「原薬」「原料」の大半は輸入に頼っている
粗製品も精製品も中国への依存が強いので、外交的にこじれると、最悪は輸入がストップする事態も想定されます。少し大袈裟に言えば、日本のジェネリック業界、ひいてはわれわれの健康医療は、中国に首根っこをつかまれているわけです。
それについては日本政府も認識しており、主なジェネリックの原薬を「特定重要物資」に指定し、また多少の対策を実施しています。たとえば国内メーカーと協力して、いくつかの原薬の国産化を探っています。しかし本当に国産化するとなれば、輸入品と比べて2倍から5倍以上もコストがかかるともいわれています。現行の薬価では到底ペイしません。
一方、輸入原薬のなかには、粗製品を越して「粗悪品」と呼ぶべきものが多く含まれているともいわれています。
ただしメーカーにとって、きわめて重要な情報なので、ほとんど表に出てくることはありません。もちろんメーカー側は、うまく精製加工して、国の基準の品質を保っているはずです。あまり心配し過ぎるのもよくないでしょう。
ただ、日本だけで高品質のジェネリックを安く、しかも安定的に供給し続けるのは、ほぼ無理だということは、覚えておいてよさそうです。 =つづく
(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)