(1)「飲むHIV予防薬」が性風俗従事者らに人気
意外に思われるかもしれないが、HIVは他の性感染症に比べて感染力が弱く、HIV感染者と性交渉したとしても必ず感染するわけではない。とはいえ、感染しても自覚症状がないだけに、その後、重大事態を招きかねない。そこでHIVに感染したかもしれないと思ったら、性交渉をして72時間以内にHIV治療薬を28日間1日1回もしくは2回飲む「PEP(ペップ=暴露後予防内服)」と呼ばれる予防策がある。世界保健機関の調査報告ではHIV感染のリスクを8割以上低下させるとされているという。
「もうひとつの方法がPrEP(プレップ=暴露前予防内服)で、当院ではこちらを希望する人が目立ちます。性交渉前にHIV治療薬(2種類の抗HIV薬入りの合剤『ツルバダ』『デシコビ』が使われることが多い)を飲む方法で、2通りあります。デイリーPrEPと呼ばれる、毎日1回1錠を決まった時間に飲む方法。もうひとつはオンデマンドPrEPと呼ばれる、性交渉の24時間前(少なくとも2時間前)に2錠飲み、その後は24時間ごとに1錠づつ飲む方法です。性行為が数日続くときはその間は24時間ごとに1錠づつ飲み、最後の性行為のあと2回服用します。正しく服用すれば性行為によるHIV感染リスクを99%低減させることができるとされていて、WHOもガイドラインを出し、PrEPを推奨しています」