認知症はなぜ早く見つけるべきなのか…新薬登場で早期発見がより重要に
物忘れが心配になったら…受診する診療科と行われる検査
物忘れが増えたと感じたら、かかりつけ医に相談するか、あるいは「物忘れ外来」を受診してください。
「どの診療科を受診すればいいのですか?」とよく聞かれます。ポイントは、診療科では選ばないことです。認知症は精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科が担当しますが、認知症を得意としている医師もいればそうでない医師もいます。「物忘れ外来」は認知症の専門外来。一般的に、認知症の診断・治療の経験が多い医師が担当しています。物忘れ外来が通いやすい場所になければ、認知症疾患医療センターを受診するのも良いと思います。
「最初にどのような検査をするのですか?」といった質問もよく受けます。認知症はアルツハイマー型、レビー小体型、血管性、前頭側頭型などの総称ですので、どの病気なのかを調べるための検査を行います。
面談で気になる症状やこれまでかかった病気を伺った後、主には、認知機能テスト(長谷川式やMMSE)、血液検査、MRIまたはCTの画像検査を行います。
これらの検査でMCI、または軽度のアルツハイマー型認知症と診断されたら、アミロイドPETなどの検査でアミロイドβの蓄積量を測定し、レケンビやケサンラの投与対象となるかを調べます。レケンビとケサンラはどの医療機関でも投与可能なわけではなく、最初に受診した病院が投与医療機関でなければ、転院のための紹介状を書いてもらう形になります。
SCDの段階では、検査で異常が見つからないことも往々にしてあります。MCIでは検査をすると軽い異常が見つかることが多いです。これらの段階では、薬の投与の対象とならなくても、認知症発症を抑えるためにできることはたくさんあります。生活習慣改善が、発症リスクを下げることは、研究で明らかになっているのです。
グレーゾーンの方、いえ、ホワイトゾーン(=異常なし)の方でも、認知症発症予防の生活習慣改善に取り組むことは、非常に意義があると考えています。「何か変だな」の段階での受診は、イキイキ健康な心身を維持することにつながります。