「急性緑内障発作」は激しい頭痛や吐き気がサイン…一晩で失明する危険も
日本人の中途失明の原因の第1位として知られている「緑内障」は、通常、10~20年かけてゆっくり進行する。しかし、中には突然発症する「急性緑内障発作」というタイプがある。日本医科大学眼科学准教授の中元兼二氏に詳しく聞いた。
通常の緑内障は、眼圧の上昇によって視神経が障害され、少しずつ視野が狭くなり、治療しなければ失明に至りやすい病気だ。進行が遅いため自覚症状を感じにくく、健診での眼底検査で見つかるケースが少なくない。
一方、急性緑内障発作は、普段は眼圧が高くなくても、ある日突然、眼圧が急上昇することで発症する。激しい眼痛や頭痛、吐き気や嘔吐、目の充血や視界がかすんだような霧視、視力の低下といった症状が現れる。通常は片目に発症するが、まれに両目に起こるケースも見られるという。
「急性緑内障発作は小柄で眼球が小さい、特に遠視の60代以降の女性によくみられます。ご家族がこの病気になった方がいる場合には特に要注意です。眼圧は、目の中の水(房水)の圧で循環することで一定に保たれていますが、眼球が小さい人は房水の排出口があるスペース(隅角)が狭まる『狭隅角』になりやすい。狭隅角の人が、ストレスや薬の服用などを契機に排出口が塞がると、房水をうまく排出できず一気にたまっていき、眼圧は急上昇するのです」