白川優子さん<4>ネパール地震では手術室の立ち上げを担当
意外なのはスタッフの構成だ。医師(内科、外科、小児科、麻酔科、精神科医など)、看護師、薬剤師などのメディカルスタッフのほか、ほぼ同数の非医療分野の人材がいる。ロジスティシャンと呼ばれる物資・施設担当や人事や経理、チームを率いるマネジメントなどだ。自動車整備士、電気工事士、建築士や害虫駆除のプロといった彼ら縁の下の力持ちなくして活動は成り立たない。
活動資金となる収入は89・1億円(2018年)で、約95%の84・9億円が民間からの寄付。1000円、2000円といった個人からの寄付に頼るところが大きい。
「活動はつらいことばかりではありません。現地のお祭りに参加したり、仲間と一緒にお茶をしたり。危険がない範囲で、ちょっとした小旅行を楽しむこともあります。そして出産のような感動の現場に立ち会うこともあります」
医療の届いていない場所へ真っ先に向かって医療や薬剤を届ける。喜ぶ人の顔を見る、という喜びもある。
「MSFのスタッフにもいろんな方がいます。私は幼い頃に『国境なき医師団』の活躍を描いたドキュメンタリー番組を見てこの組織で働きたいと思いましたが、熱帯医学に関わりたいというお医者さんもいます。ただ、MSFに入りたいと思う人は多いのですが、なかなか一歩が踏み出せない。今後は人事部リクルートメントオフィサーとして、新たな人材を採用し、育てる仕事をしたいなと思っています」