年末年始に巨大地震が起こったら…今するべき防災対策とは

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 正月を前に不気味な地震が相次いでいる。21日未明には、岩手県で最大震度5弱が観測され、18日には東京都(同伊豆大島近海、新島・神津島近海)で震度4と5弱の揺れが続き、不安に襲われた人も多いだろう。年末年始に巨大地震が起きたら――。

 伊豆大島近海や新島・神津島近海で30回を超える有感地震(震度1以上)が続いている。表①を見ると、阪神・淡路大震災のように前震回数が少ない地震もあるものの、過去の大地震の多くは本震発生直前3カ月前から数十回~100回を上回る有感地震が起きている。武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)はこう見ている。

「伊豆大島近海は1923年の関東大震災の震源地とする資料もあります。最近の地震は、首都直下地震の兆候であることは否定できません。2020年は全国的に地震が極めて少ない年でした。それが今月下旬に差し掛かって、相次いで地震が起きているのは不気味。短期間に頻発して、大規模地震につながるケースが多いからです」

 もうひとつは、新島近海の地震は火山性の地震による揺れが原因という見方だ。

「東日本火山帯が活発化しているとも考えられます。この火山帯は、地下深くを通じて富士山と箱根山につながっている。来年は大規模噴火の懸念もあります」(前出の島村英紀氏)

今、地震が起きたらどうなるのか?

 表②は、ここ3カ月の地震回数だ。自分の生活圏はどうか。リスクは知っておこう。

 コロナ禍の今、巨大地震が起これば複合災害の被災地となる。通常の自然災害対策だけでは不十分だ。

 一番の問題は医療体制。東京都は17日、医療提供体制に「余力はない」として、初めて「最高の警戒レベル」に引き上げている。さらにコロナ病床を4000床まで増やすよう医療機関に要請している状態だ。そこにもし、地震でケガを負ったり、避難所でコロナ以外の感染症を患ったりしても、救急医療を受けられない可能性は高い。安易に動くことも危険だし、避難所生活も地獄になるわけだ。

■避難はどうすべきか?

 東京都の場合、学校などの避難所が2964カ所、福祉避難所が1397カ所、公園など屋外の避難場所は213カ所(2018年時点)。災害時は「年末年始も関係なく、避難所は開設される方針ですが、コロナ渦で流動的で、お住まいの市区町村に確認してもらうと安心です」(東京都福祉保健局)。

 東日本大震災では、宮城県名取市の館腰小学校の避難所200人のうち、20人がインフルエンザに感染している。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏はこう言う。

「クラスターを危惧し、地域によって避難所の収容人数を2分の1、3分の1に制限しているところもあります。それでも第三者との過密な生活には違いありません。3密回避の在宅避難ができる体制を考えることをお勧めします」

 逃げ込んだ避難所が制限されていたら、さらに移動を余儀なくされる。震災時に無駄な行動が増えればリスクも高まる。

自宅が破損し、逃げ場がない場合は?

 もちろん、川や海が氾濫の恐れがあったり、建物が倒壊している場合なら避難が必要だが、その際も避難所にこだわらず、高台にある親戚や知人宅なども候補に入れる。避難先は家族会議し、周囲との連携を取っておいた方がいいだろう。

「屋外の避難なら、車内は選択肢のひとつです。車の中にテント一式、携帯用トイレを積んでおきたいです。避難所で最も危ないのが『雑魚寝』です。仕切りのない体育館での雑魚寝は、咳やくしゃみの飛沫を浴びやすい。次に『トイレ』も、排泄物や吐瀉物の飛沫が付いた壁などに触れるので、感染源になってしまいます。コロナ禍の現在は、他人と生活を共にすることは避けましょう」(前出の和田隆昌氏)

 感染リスクの低い公園や、避難所(避難場所)周辺の敷地で野営することも想定しておこう。

 それでも、避難所しか行き先がなければ、段ボールやビニールシートなどを調達し、周囲と仕切りをつける。たけしファミリークリニックの北垣毅院長によると、「仕切るものがなく、隣同士がかなり近い距離で寝る場合は、頭を同じ向きに寝ない、つまり自分の頭の横に相手の足がくるようにして、呼吸による感染を防ぐなどの工夫が必要」だ。

 また、共同生活する上で、最低1週間分のマスク、自分用のせっけん、携帯のアルコールスプレー、体温計は避難グッズに入れておこう。

■今から準備しておくものはなにか?

 東京都の一部の区では、コロナ禍の在宅避難を想定し、〈7日分の水や食料、携帯トイレ等生活に必要な物資の他、マスクやアルコール消毒液といった衛生用品を備蓄〉するように呼びかけている。

 加えて必要となるのが、インフラ設備だ。前出の和田隆昌氏が言う。

「タワーマンションは非常用電源を備えています。ただ、災害時は消防法などで電力の備蓄量が限られていて、電力が供給されない恐れもある。最低、携帯電話用バッテリーは準備しておきましょう。電池やラジオ、食料を調理するためのガスコンロやボンベもこの機会に使用できるか確認したいですね」

 また、民間の医療機関は年末年始に休診しているところも多い。

「切り傷、擦り傷などのケガは自宅で手当てできるように包帯や消毒できるように救急箱も見直します。風邪薬や頭痛薬なども必要。コロナ以外にも体調を崩しやすい季節ですから、最低限は自宅で処置できるようにします。在宅避難の場合、余震などで最も負傷するリスクがあるのが、就寝時です。寝室だけは家具に転倒防止の金具を付けたり、ベッドに落下物がないように家具の配置を変える、ものを少なくするなど安全性を確保しましょう」

 大掃除のタイミングに合わせて、地震対策もしておきたい。

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