最新研究で判明! “幸福度が高い企業”は社員の95%が月曜日に「出社したくてたまらない」らしい…何が違うの?
誰でも幸せになりたいと思うだろう。最近は科学的にもその正体が明らかになっているという。
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幸せは、これまでハッピーやハピネスと表現されてきた。これは一時的な幸せの感情を表す言葉だ。一方、ウェルビーイングは、満たされた状態が続く概念で、いまでは両者を明確に区別する。当然、幸せになるために重視すべきはウェルビーイングで、企業も重視している。第一線で幸福研究に取り組む慶応義塾大学大学院の前野隆司教授に話を聞いた。
効率や利益を重視する拡大路線の経済は、環境の悪化や貧富の広がりなどをともなって、行き詰まっている。そのかわりにあらゆる面で重視されるのが持続可能性だ。ウェルビーイングや幸福学も持続可能性と結びつき、企業も積極的に取り入れているという。
「価値観や社会的な背景が大きく変わったことがポイントです。経産省は健康経営を推奨し、企業は健康への関心が高まったほか、働き方改革の定着で、働く人一人一人が多様な働き方を選択できるようになっています。そんな社会の変化が重なって、よい状態がより長く続くことが重視されるようになりました。その一方、幸福に関する心理学の研究も進み、職場や教育などあらゆる分野での科学的な知見も重なっています。たとえば、幸せな社員は、不幸せな社員より創造性が3倍高く離職率も低い。幸福度の高い会社は利益が出て、株価も高く、企業価値も高いという研究結果もそろっています。社会的な変化や価値観の変化と幸福学研究の結果から、生産性や創造性を上げるため、そういうことへの投資の動きも早い。幸福学の考え方はまず企業で広まり、地域や家庭へと拡大すると思います」
これまで幸せの視点で重視されたのはカネやモノ、地位など客観的幸福で地位財と呼ばれた。価値観の変化でいまは、健康や自由、愛情など主観的幸福が重視される。そう、周りとの比較ではなく、自分の気持ちが重要だという。
「哲学や宗教などで重視された主観的幸福は、認知科学や心理学、統計学などの分野の研究でも盛んに取り入れられています。私たちの研究グループは、日本人1500人を対象に心的要因についてのアンケートを実施。その回答を統計処理して解析した結果、幸せについての4つの因子を特定できました。幸せのあり方は多様でも、その基本はこの4つに左右されるのです」
では、4つの因子とは何か。「やってみよう因子」「ありがとう因子」「なんとかなる因子」「ありのままに因子」だという(別表)。
医学的には、幸せとホルモンの関係は明らかになりつつある。収入や地位の上昇など地位財などによる幸せで分泌されるのはドーパミンだ。報酬ホルモンと呼ばれる。一方、感謝したり、優しい気持ちになったりすることで分泌されるセロトニンやオキシトシンは別名愛情ホルモンや幸福ホルモンで、セロトニンが不足すると、イライラしたり、うつ状態になったりしやすいという。