「プロ人材」で年収5000万円の強者も…経営に行き詰まる中小企業側にも“人件費”以上のメリットが
ITエンジニアや法人営業、デジタルマーケティングなどに強みを持つ「プロ人材」と「企業」をマッチングする「キャリーミー」を運営するPiece to Peace(ピース・トゥ・ピース)。NTTドコモなどに勤務しながら他企業と業務委託で働く人など1万3000人以上のプロが登録している。中小企業やスタートアップ企業側も、ノウハウを持った優秀な人材を最短1週間で活用できるという。
■NTTドコモ、サイバー、リクルート出身者
プロ人材の顔ぶれは、副業を認めているNTTドコモ社員の他にも、サイバーエージェントや電通、リクルート、DeNA、楽天などの出身者がズラリ。大学の准教授や農家、科学者といった変わり種もいる。
まずは、「プロ人材」になりたい人のメリットはどういうものか?
ピース・トゥ・ピースの大澤亮代表がこう言う。
「メリットは大きく3つあります。第1は『お金』の面。例えば、働くのが週2回であれば報酬は月額20万~50万円程度に落ち着くことが大半ですが、これを5~10社こなしている人もいます。また、若い人は会社の将来に不安な人もいるでしょう。仕事を掛け持ちする複業をすることで、収入の柱をリスク分散する意味合いもあります」
プロ人材の中には、2~5社ほど企業を掛け持ちして年収5000万円という人もいるそうだ。
「次が『やりたい仕事、得意な仕事』だけができること。広告運用の仕事がしたくて会社に入社したのに、飲み会への参加や社内調整といった意に反した仕事もさせられます。自分がやりたい仕事、得意な仕事だけをすることでスキルがどんどん上がっていく相乗効果もあります」
逆に社内調整や部下の育成が苦手だという人でも、専門に特化していれば立派なプロ人材だ。
「最後は『自由な働き方』です。業務委託契約で仕事を請け負い、企業とはあくまで対等な関係。子育て中の女性や海外在住の人もいます」
■企業が依頼すれば1週間で最適な人材を紹介
では、プロ人材を雇う企業側のメリットとは何か? 大澤代表に続けてもらった。
「売り上げの最大化、リスクの最小化です。大企業であっても新規事業を立ち上げる場合、リソースとノウハウが足りません。例えば、自社のマーケティング部でユーチューブ動画を始めようとしても、時間と労力がかかります。しかし、キャリーミーに依頼すれば、その道のプロを1週間を目安に紹介し、遅くとも1カ月以内には稼働することになります」
優秀なデジタルエンジニアを正社員として雇用しようとしたら、年収1000万円は出さないといけない。既存社員を兼務させてユーチューブをやらせようにも習熟までに時間はかかるし、慣れた頃に転職してしまうリスクもある。
一方、これがプロ人材であれば、必要な業務量に応じて週2回で20万~50万円で雇えることになる。
しかも、契約期間が終われば解約できるため、低コストで優秀な人を活用できるわけだ。
■結果が出なければ解約していい
「当社のクライアントの例ですと、自社の課題が何なのか? その段階で迷っているケースもあります。その場合はこちらからヒアリングさせてもらいながら、課題解決をしていきます」
ECサイトの売り上げを伸ばしたいといった漠然とした要望ではなく、サイト登録者を増やしたいのか、あるいは新たな商品化計画なのか、はたまたユーザーに訪れてもらうLP戦略なのかでも随分とプロ人材の活用の仕方は違ってくる。
「プロ人材は社員ではありませんので、外部の視点から『ここがダメ、ここが弱い』と意見を忌憚なく言えます。また、社員はプロ人材のノウハウを横で見て習得できますし、プロ人材を雇うことで減った人件費を社員に還元することもできます。仮に年収600万円の人を20年雇えば企業は1.2億円の負担。社会保障や福利厚生費用負担も同じくらいかかります。これら固定費を変動化して社員の給与を上げられるのです。もうひとつ、プロ人材は結果が出なければ解約されます。自立的に働かないと契約を継続してもらえないと理解していますので、社員はプロのスキルだけでなく、そのマインドも学べることになります」