【表付き】4月から新型コロナ治療薬の自己負担21万円の恐れも…受診の比重はむしろインフルが上
米CDCは重症者現象で5日間隔離撤廃
幸い、昨年末から増えていた新型コロナの感染者数はピークを打ち、減少に転じていて、厚労省に集まる報告数が全国で3万9000人ほどとなっている。助成が切れる4月からは春の暖かさも相まってさらに減るだろうが、対策は頭に入れておくべきだろう。米山氏が続ける。
「現時点での新型コロナは、かなり軽くなっていて、健康な方ならほとんど風邪と同じです。症状は熱と咳で済む方がほとんどで、解熱剤と鎮咳薬で乗り越えられます。米疾病対策センター(CDC)が感染者を5日間隔離する方針を撤廃し、症状が改善すれば復帰できるようにしたのも、そんなウイルスの変化が大きいと思います」
米CDCは、重症化する感染者が減少したことや隔離期間を改定する他国のケースを参考にしたという。復帰の条件が、少なくとも24時間にわたって解熱剤を使わなくても発熱せず、症状が改善する方向にあることで、米山氏が指摘するように解熱剤でしのげるケースが珍しくなく、「当面、高額な薬が必要になるのは重症化リスクが高い人が感染したケースがほとんどでしょう」というから一安心だが、心配な点もあるそうだ。米山氏が言う。
「いまは、新型コロナよりインフルエンザの方が症状が重いことが多く、むしろインフルエンザ治療が重要です。ただし発熱した場合、新型コロナもインフルエンザも重症化リスクはゼロではないし、症状からいずれかを判断することはできないので、不安なら新型コロナとインフルエンザを同時に調べる検査を受診するのが無難。それでインフルエンザと判明したら、インフルエンザの薬を処方してもらうのが肝心です。インフルエンザの薬は高くありませんから」
前述の通り、健康な人は、風邪か新型コロナと判明したら一般の解熱剤や鎮咳薬を処方してもらえばいい。高額な新型コロナ治療薬は重症化の兆しが見られてからの使用でも遅くないという。
ちなみにインフルエンザの薬代は、たとえば古くからある「タミフル」は5日分で2302円で、そのジェネリックは同1144円。重症化を予防する最新の「ラピアクタ」でも6331円で済む。3割負担は、それぞれ690円、343円、1899円だ。こちらもほかに診療料や検査代などがかかるが、不安なく受診できる金額だ。
厚労省の新型コロナ治療薬への助成打ち止めに驚いた人は今後、インフルエンザの治療優先で、新型コロナは“様子見”の解熱剤服用のスタンスでいれば、体調がおかしくなったときも心配せずに済むだろう。