「変えてはいけないものがある」…浅草のオーセンティックバー「サンボア」店長の矜持
今までとは違う対応に苦労するのは当たり前
サンボアは店の統一ポリシーとして、日本酒は置いていない。欧米の観光客もフラッと入ってきて頼むのが、決まって「ニホンシュ」だそうだ。
「新たな客層に対して今までとは違う対応に苦労するのは当たり前。時代によって変えなければいけないものがあります。が、変えてはいけないこともあります」
そこが大事なんだよ。こんな話をしている最中、どやどやっと6人ほどの同世代の地元の先輩たちが入ってきた。「ここのハイボールがやたらうまいんだよ!」と、リーダー格が声を上げる。彼らを見る松林さんのまなざしが、困惑しながらも温かいことに気持ちが和むアタシでした。それを機に松林さんに「ちょっと行ってきます」と言い、アタシは気になっていた奥浅草の酒場食堂を探しに店を出た。そこで小腹を満たし、またサンボアに戻るつもりだったのだが、その店が居心地よく、すっかり出来上がってしまい、サンボアに戻る力を使い果たしてしまった。
ちなみにその店は千束通りの「ナカジマ」。大正10年創業の超老舗食堂。ハムカツ(500円)とマカロニサラダ(400円)に、スーパードライ大瓶(690円)で気持ちよくなったアタシはひさご通りをふらふら歩きながら、こりゃ、しばらく浅草通いが続きそうだな……と、ひとりごちたのでした。
(藤井優)
○浅草サンボア 台東区浅草1-16-8