(28)タクシー券悪用で「キックパック」の誘い…バブル期にはいろんなことがありました
タクシーチケットに関しては、悪知恵を働かせるお客もいた。そのお客は目的地に着くと、「1万3000円って書くから、3000円戻してよ」という。実際の乗車料金は7500円程度だったと思う。要は「3000円を自分に渡してくれれば、運転手さんも2500円儲かるでしょ」という“キックバック共犯”の提案なのだ。私としては、不正がバレて、わずか2500円ぽっちのお金で職を失うわけにはいかない。第一、会社に提出するレシートと金額が違っていれば不正はバレる。「申し訳ありません。それはできません」と丁重に断った。すると「話のわかんねえ運ちゃんだな」とそのお客は吐き捨てるように言い、渋々、実際の数字を書いたチケットを私に投げつけてきた。
ちなみにこの「キックバック男」、国会議員バッジではなかったが、某広告代理店の社員バッジをつけていた。