著者のコラム一覧
内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(29)幸運な出会いと一抹の寂しさ…乗車料金2万円以上の乗客は、高校の同級生だった

公開日: 更新日:

「効率よく稼ぐコツなんてあるんでしょうか」

 ドライバーになりたての頃のこと。同じ会社のある先輩ドライバーに尋ねてみたことがある。無口だが、いつも柔和な表情を浮かべていて、私の悩みに耳を傾けてくれる人だった。500人以上のドライバーの中で売り上げは毎月コンスタントにベスト10に入っていた。

「そうだね。いちばん大切なことは、手を上げる人がいたらアレコレ考えずに黙って乗せることだよね。単純なことなんだよ」

 穏やかな表情で話しながら、こうつづけた。

「ワンメーターのお客にガッカリする人がいるけど、それはおかしいよね。降ろした場所にどんなお客が待っているかなんて誰にもわからない。ワンメーターの上野から秋葉原まで乗せて、次のお客が“成田まで”っていうかもしれない」

 バブル期、夜の繁華街のタクシー乗り場では、先頭でホステスさん風の女性客が待っているのを見ると、近距離客と判断して、突然、表示ライトを「空車」から「回送」に切り替えて走り去るタクシードライバーも少なからずいた。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 2

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  3. 3

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  4. 4

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  5. 5

    オリオールズ菅野智之 トレードでドジャースorカブス入りに現実味…日本人投手欠く両球団が争奪戦へ

  1. 6

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  2. 7

    乃木坂46では癒やし系…五百城茉央の魅力は、切れ味と温かさ共存していること

  3. 8

    初日から無傷の6連勝!伯桜鵬の実力を底上げした「宮城野部屋閉鎖」の恩恵

  4. 9

    新潟県十日町市の“限界集落”に移住したドイツ人建築デザイナーが起こした奇跡

  5. 10

    トランプ大統領“暗殺”に動き出すのか…米FBI元長官「呼びかけ」の波紋