太田市美術館・図書館(群馬県)ヒトとモノ、自然と人工が調和した複合施設
人、本、芸術、工業……それらが交差し、時に融合する。「ものづくり」で知られる群馬県太田市ならではの近代型複合施設と言えよう。
太田駅北口の目の前にある建物を見て、一目で何の施設か理解できる者は少ないだろう。5つの鉄筋コンクリート製の「箱」がスロープでつながっており、箱の上と周囲は木々が生い茂っている。それぞれの箱は図書館、美術館、カフェなどコンセプトがあり、来訪者はそこを自由に巡ることができる。
設計したのはさまざまな賞を受賞し、現在は京大教授の建築家、平田晃久氏だ。
太田市美術館・図書館の今泉知子係長代理が言う。
「ガラス張りで出入り口がさまざまな方向にあり、どこからでも気軽に入れる街の一角のような施設で、街を歩くように自然に各階を巡ることができるようになっています。ぐるぐる歩きながら思わぬ出会いを楽しみ、それぞれの居心地のよい場所を見つけて過ごしてもらえたらという構想です。プロペラや風の流れを思わせる外観はかつて中島飛行機があった、この街の記憶とつながり、東日本最大の古墳のあるこの街に人工と自然が入り交じる新しい丘をつくることも外観デザインに込めたと、平田氏はコメントしております」