ワクチン接種後の腫れはステロイドで改善できるが…どの部分に注射したか獣医師に確認を
■まれに悪性と診断されることも
ワクチンによる局所腫瘤は、ほとんどが良性ですが、まれに悪性と診断されることがあります。その場合、ワクチン接種による副反応としてメーカーと接種した動物病院が連携して治療することで、治療費はメーカーが補償します。治療費負担の点からも、その時点では当院で治療を続けることは、飼い主さんに不要な治療費を求めることになるので、よくありませんでした。
その飼い主さんは元の病院に戻り、治療を受けましたが、その手順にも不信感が募り、治療後は当院を再受診されたのです。その元の病院は当初、ワクチンの副反応を疑わず、若年性の腫瘍として治療を進めたものの、うまくいかず腫れがさらに増大。そこで治療を切り替え、ステロイド剤の注射で改善したといいます。
ワクチン接種後の腫瘤が良性なら、アレルギー反応ですから、それを抑えるステロイドで治るのです。元の病院がこの段階でステロイドを使用したのは、ようやくワクチンが原因とする可能性を疑ったと思われます。ひどい流れですが、悪性への変化がなくていまは何よりですが、元の病院では費用を請求されたようですから、ひどい対応といえます。
もし治療や処置を見せない病院でワクチンを接種して、その部位が腫れてきたら、担当医にどこにワクチンを接種したかを確認した上で対応してもらうことが大切です。
(カーター動物病院・片岡重明院長)