日本酒造組合中央会理事・宇都宮仁氏「日本の酒造りは日本人が伝えていかなければならない文化」

公開日: 更新日:

宇都宮仁(日本酒造組合中央会理事)

 日本酒、本格焼酎(※)・泡盛、本みりんを醸す日本の伝統的酒造りが今月5日(日本時間)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。日本からは23件目となる。登録に向けた取り組みを4年前から行ってきたのが、全国1600の酒類メーカーが所属する日本酒造組合中央会(以下、中央会)、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会、日本酒造杜氏組合連合会だ。中央会理事に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 ──伝統的酒造りとは?

 ユネスコに登録された英語名称では「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術と知識」。酒そのものを指しているのではなく、酒造りの技、知識、周辺との関わりを評価された形です。こうじ菌を使って発酵させる技術は日本人の生活文化と密接に結びついていて、日本酒、本格焼酎・泡盛、みりん全てに共通しています。

 ──酒造りに関わる人の反応はどうですか?

 それだけの評価を受ける仕事だと再確認し、やる気が湧いてきた、誇りを取り戻したといった声を聞いています。蒸した米や麦にアスペルギルス属のこうじ菌を繁殖させて行う日本の酒造りの方法はほとんど知られていない。日本人が伝えていかなければならない文化です。

 ──2013年に無形文化遺産登録された「和食」の海外での人気が高まっています。日本の酒はどうでしょうか?

 日本酒に関しては、10年ほど前から海外に積極的に輸出するメーカーが出てきました。輸出金額は昨年度で411億円、この10年で4倍近く伸びています。ワインと同様に食事と楽しめる、ワインにはない特徴がある品質の高い酒として認知度が高まりつつあります。一方、焼酎は国内でのブームもあってメーカーも海外進出に目を向けておらず、ほぼ知られていませんでした。

 ──その状況は変わってきていますか?

 焼酎の大手メーカーでは海外営業部門を設けるところが出てきています。バーでカクテルのベースにも使えるよう、海外市場をターゲットにした高アルコール度数の焼酎も登場。私はずっとGoogleトレンドで「SHOCHU」をチェックしていますが、検索回数が上がってきています。海外の専門誌で焼酎が取り上げられ、そのweb版の記事を読むと「5年前にバーで隣に座った人に焼酎について知っていることを教えてくれと尋ねたら白い目で見られただろうが今は違う」といった出だしから始まっていたのが印象的でした。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    【独自】著者グループは架空? ベストセラー「反ワク本」に捏造疑惑浮上…製薬会社が調査結果公表へ

  2. 2

    「かわいそうな日本の老人」…訪日した中国人がタクシー運転手にギョッとするわけ

  3. 3

    佳子さまは「皇室を出たい」が本音? 秋篠宮さまは女性皇族問題めぐり宮内庁に異例の「苦言」

  4. 4

    斎藤元彦知事は“無双”から絶体絶命に…公選法違反疑惑で刑事告発した上脇教授と郷原弁護士に聞いた

  5. 5

    大学准教授がすすめる「年賀状のしまい方」出す方も受け取る方も“負担のない”ポイントは?

  1. 6

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  2. 7

    「反ワク本」はデタラメだ! 標的にされた製薬会社Meiji Seikaファルマが調査結果を公表

  3. 8

    秋篠宮家の“迷い”に疲弊する宮内庁職員の嘆き…筑波大まで通うのか宿舎に入るのかで異なる警備問題

  4. 9

    マイナ保険証登録解除「791件→1万3147件」に激増の裏側…20日間で16倍の異常事態

  5. 10

    タレント松本明子の長男は「ジャパネット」に…有名人子息の就活に親の知名度は影響するのか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大阪万博チケットさっぱり売れず…1100万枚完売しないと赤字に、損益分岐点1840万枚なのに販売済み約744万枚

  2. 2

    二宮和也「ブス発言」と中居正広「指差し高笑い」の“イジリ”のダサさ…中高年になっても若い時のまま

  3. 3

    竹内結子さん急死の謎 家庭と仕事の両立に金銭的な重圧も

  4. 4

    メジャーで人気沸騰も菅野智之に致命的“欠点”… 巨人関係者が不安視する「野手をウンザリさせてきた悪癖」

  5. 5

    中居正広が地上波テレビから消える?「女性トラブルで“示談金”9000万円」報道の深刻度

  1. 6

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  2. 7

    巨人元バッテリーコーチがFA甲斐拓也獲得を悲観…「人的補償で未来の大切な戦力を失いかねない」

  3. 8

    不倫の斉藤由貴 モルモン教徒は「離婚できない」は本当か

  4. 9

    大阪万博のシンボルにくすぶる“パクリ疑惑”…リングの愛称は「パクリング」でエエんちゃう?

  5. 10

    「かわいそうな日本の老人」…訪日した中国人がタクシー運転手にギョッとするわけ