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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

“かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に

公開日: 更新日:

「武蔵では東大に行くのが当たり前といった空気が戦後もしばらく続き、放っておいても自然と優秀な生徒が集まってきた。しかし、そうした状況にあぐらをかき、生徒集めの努力に欠けていた」と評議員は振り返る。「近年は学習塾とのつきあいも大切になっている」と麻布の元教員は話すが、武蔵はそうしたアプローチをことさら避けてきた。「塾のようなところとくみするべきではないという校長が続き、長期低落傾向に歯止めがかからなくなった」と評議員。「優秀な生徒を集めるには私たち大手塾との情報交換が不可欠」(前出の塾幹部)という時代なのだ。

 そうした中でショッキングな事態が起こったのは11年前。東大受験で圧倒的な実績を残してきた学習塾「鉄緑会」が武蔵を指定校から外したのだ。筑駒、開成、麻布、桜蔭などの指定校は中学入学時に手続きすればテストなしに入塾できる。いわば進学校上位校の証しだが、「塾内の成績が伸びなかった」と元講師は武蔵外しの理由を明かす。

 巻き返しを図るべく、19年春に校長に招いたのが埼玉県立浦和高校で校長を務めた武蔵OBの杉山剛士氏。これまで良しとしてこなかった受験のための詰め込み教育も辞さない構えで取り組んでいる。杉山校長体制になってからの東大合格者は21、28、19、21、26人。目覚ましい成果を上げているとは言い難いが、「彼が就任してから入ってきた生徒が今年初めて卒業する。本当の勝負はこれから」と評議員は期待を込めて語る。かつての超名門が復活できるかどうか、正念場である。

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