(1)昭和31年に遊郭は5万軒あって、コンビニの密度とほぼ同じだった
もういないはずの遊女に対する深い慈愛
なぜこうも彼女は注目を集めるのだろうか。
「元ソープ嬢」という肩書が俗耳を集めていることは確かだ。しかし魅力の本質はそこではあるまい。彼女の少なくないファンは女性である。
私は女性に尋ねたことがある。「なぜ女性なのに遊郭に興味を持つのですか?」。そのときの答えは振るっていた。
「女性だから興味があるんです」
確かに遊郭の客は男性だが、働いていたのは女性だ。女性が興味を持つことも当然だろう。
紅子さんが切り取る景色は、あたかも当時の遊女が見ていたそれであり、ファインダーをのぞく目線は、もういないはずの遊女に深い慈愛を注いでいるかのような作品ばかりだ。
4月26日(土曜)から彼女の写真展が開催されている。昨年も同時期に開催されたが、会場に入らないほどの行列ができた。
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会場…カストリ書房(東京都台東区千束3-21-14)
会期…4月26日~5月6日、正午~午後6時。期間中休みなし。