著者のコラム一覧
鎌田實医師・作家

医師で作家の75歳。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり、地域包括ケアの先駆けに。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長。「鎌田式『スクワット』と『かかと落とし』」「認知症にならない29の習慣」など著作多数。昨年11月には「医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術」(アスコム)が発売された。

(1)頻脈発作、冷や汗、震え…48歳でパニック障害になって考えたこと

公開日: 更新日:

 病院の仕事なので、夜中に救急で呼ばれることもある。妻とは別の部屋で寝る習慣があったが、そのうちアカシジアといってひとりでは居てもたってもいられなくなり、夜中に外を散歩したことも。それでも落ち着かず、震えが止まらなくなると妻の部屋に行って、抱きしめてもらわなければ症状が改善されなくなった。

 仕事自体はうまくいっていた。39歳で院長になり、4億円の累積赤字を抱えて潰れそうだった病院が、借金を返済し、日本中から見学者がひっきりなしに来るような場所に生まれ変わった。

 自分は貧乏の中で生きてきたし、強い人間だと思っていたけれど、実際はそうではなかった。男性更年期障害もあったかもしれない。1日の睡眠時間は4時間半ほど。親の援助なしに医者になったことも、医者になってからも、少し、がんばり過ぎていたかもしれないという気がした。がんばり続けるのではなく、がんばったり、ときには、がんばらなかったりでいいのではないかと、そう思った。

 それ以降、感情をコントロールできないときは、がまんしないようにした。笑いたいときには笑い、泣きたいときはがまんせずに泣いた。がんばらないでいると、肩の力がすっと抜けた。あえて「がんばらない」という積極的なスタンスをとることで、いつしかパニック障害の症状は改善され、目の前に無限の選択肢が広がった。新しい自分になれた気がした。

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